2016年2月号「10%以上」

ある時「認知症になるのは<愛>が足りないからだ」と断言され、「へぇ?」と思った私でしたが、この頃そのコメントは当たっているかもしれないと思う。日本において認知症で介護を必要としている方が65歳以上の10%(280万人、2013年)、カナダにおいて認知症と診断されている方が14.9%(74.7万人、2011年)。どっちが多いとか少ないとかではなく、それだけ多くの方が認知症になる。

医学的には遺伝であったり、脳の機能的な萎縮だったりする。認知症といわれる方の60%がAlzheimer Diseaseといわれるが、本当の診断は亡くなるまでわからない。それだけ多くの方がかかる認知症で本人と家族は毎日格闘している。

先日お独りの認知症の方を医者にお連れしようとして拒否された。まずは何故医者に行く必要があるかがわからない、何故私と一緒にいくのかわからない、その方からすれば私が“拉致”しているように見えるのである。もし私にもっと<愛>のアプローチがあれば、きっと数時間前からお茶を一緒に飲んで「安心感」を持ってもらえるところから始めていただろう。自分が大切にされているという「安堵感」や、この人は私の話を聞いてくれという「信頼」関係を作ることが先決だ。

介護は簡単ではない。理論的に議論してはいけない時も多い。「傾聴」、それだけが認知症の方の不安を減らすことができる解決策である時も多い。時々前線でがんがばっている介護士さんに、ゆっくりと一緒にお茶を飲んでください、と勧める。それだけで優しくなれる。一時的にでも<愛>を届けることが介護の真の役割ではないだろうかとこの頃思う。(続く)

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